03-415乃の字に猿図 鍔
銘: | 時代: | 重さ:92g |
縦:8.0cm | 横:8.0cm | 厚み:4mm |
鉄地に「乃」の字を透かし、猿を組み合わせた面白い構図です。
この構図について意味は明確になっておりませんが、
日本美術刀剣保存協会の発行する「刀剣美術」4月号に言及がありました。
〇手を伸ばす猿
代表的な画材は「猿猴捕月(えんこうほげつ)」。
猿が水面に映る月を取ろうとして落ちてしまう逸話から、
身の程を知り、分相応でありなさいという意味があります。
一方で、実物の月に手を伸ばす構図は、神社の絵馬などにみられ、決意や願いを表しているようです。
本作の「乃字鍔」では、鍔の丸形を月に見立て、その月に浮かぶ「乃」の字を取ろうとする猿を
表現しているのだと解釈できます。
〇「乃」の字について
乃は「すなわち」の意であり、同じ意味の「而」より内面的で深い気持ちをあらわすとされます。
乃字といえば「乃武乃文(すなわちぶ、すなわちぶん)」と文武両道を表す言葉があり、
これを一字で表現した留守模様と考えることもできます。
以上から、この鍔の画題は「文武両道を目指す、つかんでやる」という意味になるのではないかとの考察です。